「は、い......」
少し怖いくらい自然に声が出る。分からない。分からないけど、笹岭さんの声に従いたくてたまらない。言われた通りにするのが凄く気持ちいい。
「私のふとももは、やわらかいですかー?」
「はい......」
「よくできましたー」
ぎゅう。
頬と頬が肉と肉に挟まれて包まれる。顔の力が柔らかさに吸い取られる。代わりに幸せが溜まっていく。ふとももに触れた全てがだらしなく弛んで、どこにも力が入らなくなる。どこにも幸せが逃がせなくなる。
「私のふとももは、きもちいいですかー?」
「っ......はい」
顔のどこにも力を入れられない筈なのに、声だけは出すことが出来た。返事をする度に头を抚でてもらえることに気づく。头を抚でられるともっと従いたくなる。头を抚でられたいから笹岭さんの言叶に従って返事をする。
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「最后の质问です。私のふとももは、すきですかー?」
「は......い......っ!?」
ぞくり。
质问に答えた瞬间、背中が仰け反りそうになる。それから、ふとももの间に挟まれた头がぐつぐつと煮え立っていく。その热が全身にじんわりと伝わっていく。どうなってるんだ、これ。
「はい。よく言えましたー。君は私のふとももが好き。すき、すきすきっ......??? だぁ~いすき」
「ひ......あ......あ......!?」
今日一番の甘ったるい声が、煮えたぎった头に注ぎ込まれる。腰の奥にじぃぃぃんと响く。笹岭さんの体温を强く感じるようになる。彼女のふとももとの热と自分の頬の热が混ざり合ってどっちがどっちか分からなくなる。
「これで君は私のふとももが大好きになりました。これから、ふとももが大好きになった君にいくつかの"おまじない"をかけます。もっとふとももが好きになれる素敌なおまじないです。もっと好きに、なりたいですよね?」
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「やっ......まっ......!」
心のどこか。ぎりぎりの瀬戸际で生きていた自我が、消え入りそうな小さな音で警钟を鸣らす。何かおかしくはないか。そもそもの目的はリラックスではなかったか。なら少し异常じゃないか。この匂いも、この快楽も、この状况も、目の前の彼女も。そう告げているようだった。
「だめ......? 自分のきもちにうそついちゃ、だぁ~め??」
「ひう............!!」
笹岭さんは俺の首元に手を添えると、それをぎゅううっと抱き寄せる。すべすべでなめらかでやらしい肉の间に顔が沈み込む。ふとももに溺れて息継ぎができなくなる。したくなくなる。溺れたままでいいと思ってしまう。甘い甘い肌色の沼から这い上がってこれなくなる。小さな自我の小さな钟の音は、もっともっと小さくなって。そのまま聴こえなくなってしまった。
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